椿山課長の七日間 浅田 次郎

人は死んだあと、どうなるのか? を書いた作品。

椿山和明は接待の途中で突然の死に見舞われる。
次に目覚めた時、彼がいたのは、この世とあの世の狭間「中陰役所」と呼ばれるだった。
そこでは、死を迎えた人たちが天国と地獄の審判を受けるために行列を作っている。
素直に判決を受ければ、ほとんど天国へといける“体制”となった中陰役所。
黙って“反省ボタン”を押せば天国へといけるのだが、椿山和明は家族や仕事のことが心配で天国へはまだいけないと、天国いきを断固拒否する。
そんな“わがまま”を聞き入れた中陰役所の役員は、椿山和明を一時的に現世に戻す手続きをする。
現世に戻れる期間は七日間。
椿山和明の他二名がこの特例措置を受け、現世へと戻っていく。
彼らは無事に現世への未練を断ち切り、天国へといけるのだろうか?


死後の世界。
重いテーマのはずなのに、なんと軽快に書かれていることか。
もちろん、重い部分。考えさせられる部分もありますが、そんなことを感じさせない軽いノリでサクサクと話が進んでいきます。
三人ともヘビーでギャグとしか思えない境遇になっているというのに、ユーモア溢れる巧みな描写でヘビーさを緩和しているところが、プロを感じさせます。
だからといって、ヘビーさをまったく感じないかといえばそうではなく、涙あり、感動ありの良作。
たしか、ドラマ化だか映画化にもなった作品。
そちらはまだ見ていないのでなんともいえませんが。
読んで時間の無駄にはならないと思います。  



以後ネタバレ


正直、面白い。
特に気になる点もなく、良い点だけです。
本当に読む価値あり。
ぜひ読んでください。